本文

17/23
前へ
/25ページ
次へ
 香里谷先生」   歩が酸川の側に寄る。 酸川「零票確認をお願いします」   箱をのぞき込む歩。箱には何も入ってい   ない。   酸川が箱に鍵を掛け、鍵を歩に渡す。 酸川「鍵はお預けします」 歩 「はい、確かに」 酸川「開票は、ホームルームで行います。そ  れでは順番に投票してください」   ×  ×  ×   間仕切りで覆われた教卓。   生徒が一人ずつ、投票していく。   ×  ×  ×   壁掛け時計が一五時二五分を指している。   間仕切りが無くなった教卓に置かれた投   票箱。   その前に立つ酸川と歩。 酸川「では、開票を行います」   歩が鍵で錠を開ける。   緊張した表情で見守る真鈴。   歩の表情が変わる。   歩が、投票箱をひっくり返す。   中から白票だけが出てくる。   生徒達がザワつく。   酸川が両手で白票を広げる。 酸川「全て白票のようですね。残念ですがコ  ンクールへの応募は取りやめます」   騒然とする教室のなか、落ち込み下を向   く真鈴。   真鈴を悲しそうに見つめる歩。 ㊲同・廊下(夕)   投票箱を持ち、歩く歩。背後から、 撫子の声「先生」   振り返る歩。撫子と菜取が立っている。 撫子「さっきの投票、変です。私、青色の票  を入れたのに」 菜取「俺もだ。桐戸がおかしなヤツだからっ  て、何でも否定するわけじゃない」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加