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香里谷先生」
歩が酸川の側に寄る。
酸川「零票確認をお願いします」
箱をのぞき込む歩。箱には何も入ってい
ない。
酸川が箱に鍵を掛け、鍵を歩に渡す。
酸川「鍵はお預けします」
歩 「はい、確かに」
酸川「開票は、ホームルームで行います。そ
れでは順番に投票してください」
× × ×
間仕切りで覆われた教卓。
生徒が一人ずつ、投票していく。
× × ×
壁掛け時計が一五時二五分を指している。
間仕切りが無くなった教卓に置かれた投
票箱。
その前に立つ酸川と歩。
酸川「では、開票を行います」
歩が鍵で錠を開ける。
緊張した表情で見守る真鈴。
歩の表情が変わる。
歩が、投票箱をひっくり返す。
中から白票だけが出てくる。
生徒達がザワつく。
酸川が両手で白票を広げる。
酸川「全て白票のようですね。残念ですがコ
ンクールへの応募は取りやめます」
騒然とする教室のなか、落ち込み下を向
く真鈴。
真鈴を悲しそうに見つめる歩。
㊲同・廊下(夕)
投票箱を持ち、歩く歩。背後から、
撫子の声「先生」
振り返る歩。撫子と菜取が立っている。
撫子「さっきの投票、変です。私、青色の票
を入れたのに」
菜取「俺もだ。桐戸がおかしなヤツだからっ
て、何でも否定するわけじゃない」
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