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撫子「あれじゃ、桐戸さんが可哀想です」
歩 「分かった。酸川先生と相談してみる」
歩、頷き、立ち去る。
㊳同・職員室(夕)
席に座る酸川とその前に立つ歩。
酸川、口に手を当てて考える仕草。
酸川「なるほど、生徒達がそんな話を。先生
はどう思いましたか?」
歩 「やっぱり不正があったのでは?」
酸川「分かりました。この件について調べて
欲しいのです。桐戸さんと一緒に」
歩 「桐戸さんと?」
酸川「お願いします。結果については、私が
全て責任を負いますので」
歩、ゆっくりと頷く。
㊴同・廊下(夕)
人気の無い廊下。
投票箱を持ち、来る歩。
歩、『六年三組』の教室の前で立ち止ま
る。教室をのぞき込む歩。
真鈴がひとり席に座り、絵を見つめてい
る。その目には涙。
歩がジャージのポケットに手を入れる。
歩、てのひらを見つめる。
てのひらには、リトマス紙(赤)。
㊵同・教室(夕)
入ってくる歩。
慌てて涙を拭う真鈴。
真鈴「描いた絵に自信はあったんです。でも、
皆が反対するんじゃ仕方ないですよね」
歩が真鈴の席に近づき、投票箱を置く。
真鈴の目からあふれる涙。
真鈴「私も皆の意見に賛成……」
真鈴の言葉を遮り、歩がリトマス紙(赤)
を真鈴の目元に近付ける。
歩 「賛成じゃない」
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