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①紫陽小学校・正門(朝)
正門に一人立つ香里谷歩(21)。
スーツ姿で校舎を見つめている。空はど
んよりと曇っている。
歩 「どうしよう。着いちゃった」
歩、正門から校庭をのぞき込む。
正門の脇には、色づいていないアジサイ
の花壇。桐戸真鈴(11)が立ち、じょう
ろで水やりをしている。
真鈴が歩に気付く。
真鈴「(笑顔で)おはようございます」
歩 「おはよう」
真鈴「学校に何かご用ですか?」
歩 「えっと……」
真鈴「もしかして教育実習の?」
歩 「そんなところです」
真鈴「中へどうぞ、先生」
歩、校庭に足を踏み入れる。
真鈴が歩に近づく。
真鈴「新しい先生、楽しみだったんです。紫
陽小学校へようこそ」
歩 「よろしく」
と照れ笑いし、歩は校舎へ向かう。
歩 「先生か。意外と悪くないかも」
ニヤける歩。
歩の後ろ姿を見送る真鈴、標的を狙う目
で微笑む。
校庭と校舎。その上空は曇り空。
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