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  黒板。レモン汁と重曹に、ムラサキキャ   ベツ溶液を加えた色の変化について、板   書されている。   生徒達に混ざって、歩が後ろの席で授業   を聞いている。歩の机には、教科書とク   ラス名簿。 酸川「実験ではムラサキキャベツ溶液をレモ  ン汁に付けると赤色に、重曹につけると青  色になりましたね。しかし、レモン汁と重  曹を混ぜた液体では、透明になりました。  この違いが分かる人」   元気よく挙手する真鈴。 酸川「では、桐戸さん」 真鈴「レモン汁と重曹が混ざり、それぞれの  性質を打ち消しあった結果、透明に変化し  たんです。この反応を中和と呼びます」 酸川「はい、よく予習していますね」   クラス名簿を見つめる歩。その中に『桐   戸真鈴』の名前。   ×  ×  ×   給食の時間。生徒達が机を合わせ座って   いる。机には、給食が並べられている。   ジャージ姿の歩がひとり給食を食べてい   る。   と、やってくる真鈴。 真鈴「香里谷先生。私、先生ともっと仲良く  なりたいんです」 歩 「あなた、桐戸さん?」 真鈴「はい。良かったら、私の牛乳と先生の  デザートを交換しませんか?」 歩 「え? 給食は自分の分を食べた方が…  …」 真鈴「じゃあ、こうしません?」   唐突に、真鈴がリトマス紙(青・赤)を   取り出し机に置く。 真鈴「お味噌汁で、リトマス紙が赤色に変化  したら交換する意見に賛成。青色なら反対」   真鈴が、箸からリトマス紙(青)に味噌   汁を落とす。
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