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撫子「桐戸さんは、リトマス紙を使って、自  分の言うことを他人に聞かせようとするん  です」 歩 「……」 菜取「みんな桐戸のことを『リトマス試験師』  って呼んでる」 撫子「なまえが、きず、だから」 歩 「リトマス、試験師……」 撫子「先生も気をつけて」   と去って行く菜取と撫子。 歩 「あ、ありがとう……」   歩が、菜取と撫子の後ろ姿につぶやく。 ⑥居酒屋 群衆酒場・外(夜)   提灯が点灯した居酒屋。入口に『群衆酒   場』の看板。 ⑦同・店内(夜)   テーブル席に向き合い座る歩と湯川渓   (21)。テーブルには、ビールや酒のつ   まみ。   ビールを飲み干す歩。 渓 「で、そのリトマス試験師ちゃんに一杯  食わされたんだ」 歩 「一杯どころじゃないんですけど」 渓 「無視すれば? 就職先も決まって、歩  はただ、教員免許欲しいだけでしょ」 歩 「まだ就職するって決めてないし。それ  に……」 渓 「何?」 歩 「何というか、大人の威厳?」   笑う渓。 渓 「じゃあ、懲らしめるのは?」 歩 「どうやって?」 渓 「歩は大学生。知識じゃ負けてないでし  ょ?」   歩、不思議そうに渓を見つめる。 ⑧香里谷家・歩の部屋(夜)   パジャマ姿の歩が学習机に向かい、椅子
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