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「息子よ、そこの人形を刺すんだ」
俺の父がそう言って
母のお気に入りの人形を指差す
大丈夫、母は今買い物に行っている
唐突だが、今
俺達家族は
オカルトにハマっている
オカルトと言ってもSFとかそういったものではない
今やっている一人かくれんぼみたいなのだ
……まあ二人以上でやるそれが一人かくれんぼと言えるかは謎だが…
ちなみに息子、父とよんでいるのは雰囲気づくりである
さて次は隠れないと……
塩水に腕時計……よし
準備するものもした。
「父よ押入れだ」
「わかっている」
そう言って押し合いながら押入れに飛び入り、イヤホンを耳につけ、モニターをつける。
そう、俺達は今、本当に人形が動くのかを確かめてるんだ
楽しみだ
❉❊❉
1.5時間…
正確には1時間と40分たった
人形が…
動いている
急いで隣で寝ている父さんを起こす
ちなみに我家、押入れが以上にでかい。
管理会社によると設計ミスらしい。……まあそれがここが安い理由だ
今回はそれがあってよかった
あっ!しまった
カッター置きっぱなしだ!
ヤバイヤバイヤバイ
あいつカッターで遊んでやがる!
右手の左手で飛ばしてる!
…ん?握った
そして……
素振りしている…
やる気やん!
この子完全に俺ら殺しに来てるやん?!
…ん?
突然やめた
もしかして優しいやつ……?
ゆっくりカメラに向かってくる
――おいおいまさか…気づいてないよな…?
『ギギギ、なに、見てるの……?』
き•ず•か•れ•た✫
フラグ乙!
優しい奴なわけなかった!!
オイー!どおすんだよ
父さん起きねえし、なんかイヤホンのノイズやばいし!
あーありがとぉ今までありがとう
親友たちよ、私は今日、死ぬかもしれません
アーメン!
いや落ち着け落ち着け!
まずは口に塩水含め!
《ゴックン✫》
……あ
飲み込んじゃった…
吐けぇ!吐くんだ、俺!!
今どうするかで俺の将来が決まる!
どうにかするんだ!!
《スー》
扉が開いていく
4
吐けぇ!
よし!肺の辺りまで来た!
3
もう少し!
オェ!喉まで来た
2
口までいけ!口まで!
臭え!ゲロ独特の匂いがする!
1
勢いつけてー!
0
発射ー!
何!避けた?!
ヤバイ
ナイフを避けろ!俺!
振り下ろし!
右に避ける!
横に流してきた!
ジャンプ!そのまま踏ん付ける!
うまく行くかわからんが、とりあえず残りの塩水かける!
「お前の負けお前の負けお前の負け!!」
『楽…しかったよ…?』
なんとか…なった
「おい起きろよ親父」
「あ?すまん。どうした?」
「終わったよ」
《ガチャ》
扉が空いた
そういえば、母さんの人形使ったこと言ってなかったよな…
もっと怖い鬼が帰ってきたかもしれん……
❉❊❉
数日経って
俺達、家族は反省会をしていた
「あなた達反省してるの?私の勝手に使って!」
「「ごめんなさい」」
「やるんだったら私も混ぜなさいよ!」
……え?
話を変えよう…
「それにしてもいつもと違って父さんずっと寝てたよな」
「あ、あぁ実はあの画面の映像な、俺が予め友達に頼んで作ってもらってたやつなんだよ。だから安心して寝れたんだよ」
「え?…でも…人形…俺の…目の前…で…動いてたよ……?」
「……ぇ?」
『ククッ…さて、誰を殺ろうかな…?』
今日も人形はどこかの街を歩いている
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