どうせなら死ぬ前に会いたかった

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どうしてあなたはわかってくれるの? どうしてそんなに魅力的なの? ――何処に連れて行ってくれるの?  …いいとこ? 君が素早くそれでいて滑らかに頷く ――そっか 静か。 何もかもが。 水音すらもしない。 川岸では彼岸花がただただ朱く ひたすらに朱く揺れている ――ねぇ、なんで私を…?  ……仕事? やはり君は頷く しっかりとそして優しく 私は死んだ いじめの末に死んだ 最初は些細だった 陰口から始まった 無視が始まり 落書き もの隠し 果にはこう成った ――なんで私が死なないといけなかったの?  ……私は…私は…どうして? ふらりとこちらを君が見る 君の目の奥にはただただ雲居が映る それ()()で他に何を思っているのか 君が頷く やはり頷く ――本当にわかってくれているの? 思わず出た 胸の奥がやけに軽くなったように感じる でもそれは…いいものではない 軽くなりすぎて 私のことを忘れかけてしまう ――なんで…なんで…黙ってるの?  ……なんで私を見てくれないの? 私は 川に落とされて死んだ 橋から落され 死んだ 君が私に櫂を渡してくる ――…こげって? 君が軽く頷く やはりそういうことらしい 黙って漕ぐ 漕ぐ 漕ぐ 漕ぐ 漕ぐ いつの間にか過去を思い出していた 私はなぜ生きていたのだろう なぜ死んだのだろう 何を思って生きていたのだろう 何を信じ生きていたのだろうか なんのために生きたのだろう なんのために短い命を捧げたのだろう いっそのこと生まれたくなかった 裸にされ レイプされ 刺され 苦しみ 嫌いな相手と 体を重ね それでも感じている自分 反吐が出た あの時…快感を感じた 荒い息が出た 絶頂を迎えた 覚えている 何もかも。覚えている 言葉にできない嫌悪感 自分への殺意 忘れたい そう今も願う あのときの私は 死んでいるようだった ……一度…一度だけ君を見た ショッピングモールで そこでも君はやはり何も話さなかった 避妊薬を買いに行ったんだ そうだ。避妊薬を…… 無言で買った それ 慣れていた いつもの事だった 帰るとき。 君はいなかった ――…あの時…あなたはどこに行っていたの? 君は私を見る ――そう…あなたは話せないものね… 君は話せない。 あったときからずっと 音という音を発さなかった アイツらが私に飽き、捨てられ あなたに川の中で君にあったときも いつでも君は 何も言わなかった 私が話しかけても… 君は何も言わなかった 彼岸花がただただ朱い 君が指を指す 終わりだ この旅も終わりなのだろう ――…すぐに…また…君に会いに来てもいい? 君が首を動かし 少し悩む 「だめだ…生きろ…」 なんだ、喋れるんじゃんか…
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