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ぞわり、と背中を緊張が駆け上がって、兎に角委員長から離れようと彼の肩を押し顔を上げる。すると、広い肩越しに、丁度舞台から戻ってきた何者かと目が合った。
「⋯⋯おや、こんなところで朝っぱらから盛っている猿が居ますよ皆さん」
うすらわらい を うかべた ふくかいちょう が あらわれた !
ピクリと委員長が反応したのが視界に入り思わず固まっていると、他の生徒会メンバーもぞろぞろと舞台から戻ってくる。そういえば上手に大きめの機材が置いてあるから捌ける時も下手でよろしくって放送委員から連絡来てたな〜⋯⋯なんて呑気に考えている場合ではなくて。
「なになに、お猿さーん?」
「この学校動物園になったのー?」
「「⋯⋯ってうわ!ふじゅんどーせーこーゆーだ!!」」
「⋯⋯⋯⋯不潔」
「⋯⋯」
家政婦は見た!ばりの大仰な態度でこちらを指さす双子。たった3文字と共に軽蔑したような視線を向けてくるわんこ。⋯⋯いつも通りのへらへらとした笑みを浮かべながらも目が全く笑っていないし口も開かないチャラ男。
双子は兎も角残り2人の視線が冷たすぎる。信じてもらえるかは分からないが一応弁明しようと小さく息を吸ったところで目の前の男がハア、とため息を吐いた。逆のことすんな。生徒会一行に向けていた背を俺に向けて、委員長は彼らに対峙する。⋯⋯この部屋の気温が急激に下がった気がした。
元々相性が悪いのだ、風紀と生徒会は。この学園の高等部において圧倒的な権力を持つ2つの組織。直接生徒を動かす権利を持つのは生徒会だとしても、その生徒会を罷免する権利を風紀は持っている。我々風紀は、生徒会に拳銃を突き付ける事が出来る立場なのだ。
⋯⋯まっ、ちょっと重めに言ってみちゃったりしたけど要するに委員長と会長が幼少期からのライバルで、家柄が同じくらい良いって事もあって犬猿の仲。そこが喧嘩ップルっぽくて俺的には推せるポイントなんだけど、会うたびピリピリ嫌味の応酬を繰り広げてるから生徒会は全体的に風紀の事をよく思ってないみたい。すごーい!生徒会のみんなは、とっても仲良しなフレンズなんだね!
「パッと目についた情報だけで物事を決めつけるのは良くないと思うぜ、副会長さんよォ?俺は大事な式典に寝坊した部下を躾けてただけだ」
「寝坊への罰にしては随分深い所まで躾ける気だったみたいだな?」
これまで傍観していた会長が俺の全身を眺めながら馬鹿にするように口角を上げた。はて。深い所、とは⋯⋯。会長からの視線に倣うように自分の身体を見下ろしてみて⋯⋯納得した。ド下ネタじゃねぇか。
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