一章 暁の町にて紡ぐ

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 次の瞬間、鈴丸は後ろから羽交い絞めにされていたのだ。首だけを動かすと、最初に伸した小太りの男ではないか。 (しまった、油断した) 「残念だったな。それじゃあ、お返しといこうか」  身動きの取れない少年に、綺麗な刀を持った男がそれを構えてくる。鈴丸はとっさに、小太りの男の腕に噛みついた。 「痛っ! 何しやがる、こいつ!」  腕を噛まれて、男は悲鳴と共に少年の体を投げ出す。解放された鈴丸は、しかし、踏ん張りがきかずに勢いよく地に倒れ込んだ。小太りの男がその体を踏みつけ、顔に拳を振るってくる。鈴丸は身動きできぬまま咳き込んだ。 「そろそろ終わりにしてやろう」  刀を構えたもう一人が、そう言いながら近づいてくる。その表情は狂気に歪んでいた。今度こそ、少年に反撃する術はなく、ただきつく目を閉じる。 「……」  すぐにでも、刀が振り下ろされると思っていた。  しかし、予想に反して痛みは走らず、代わりに誰かが倒れるような音がする。それからすぐに、体が自由になった。痛みを堪えて起き上がると、山賊が三人とも、完全に倒れているのが目に映る。  そして、自分のすぐ横に膝をついた人物を見て目を大きくした。
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