プロローグ

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 その瞬間。全身を、寒気が駆け上がった。  こわい。こわい。こわい。いやだ。  だれか、たすけて。  恐怖で、心が強張るのに。  命が終わるかもしれないのに、  それでも頭をよぎるのは……  あの人の、ことばかりで。  こんな私に、話しかけてくれた人。  こんな私に、笑ってくれた人。  こんな私に、手を差し伸べてくれた人。  家族じゃなくて、あの人の顔が。  ずっと頭の中に焼き付いて離れなかった。  きっともう会えないと、分かったけれど、分かっているけれど――――、  ああ。  できる、ことなら。 ____また、     逢いたい……。
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