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あるところにライオンがいました。
ライオンは百獣の王、怖いものも無ければ、獲物に不自由することもありませんでした。
しかし、生けるもののさだめとして、老いは平等に降りかかるもの。
無敵だったライオンも、老いて病み、爪も牙も弱ってしまったとき。ライオンは洞窟に隠居して、すべての動物たちに見舞いに来るように命じました。
たくさんのけものたちが、それに応じてやってきましたが、狐だけはいっこうに来ませんでした。業を煮やしたライオンが再三命じて、ようやくやってきたものの、入ってこようとはしません。
「おまえだけは、どうして今まで来なかったのか」
「そして今、なぜ入ってこようとしない」
ライオンがそう尋ねると、狐は――
――『イソップ童話』より――
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