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渇望
人と直に会わずとも、個別単位にとどまらず、国境をポンと超えて様々な立ち位置での関与する自分!
そんな、言ったこともない場所、会ったこともない人々との生きた空間に、”どこかに食い込んでる自分”をキープしながら、ニンゲンはそこで得た場をコミュニケーションのステージとして、”社会参加”が叶うという仕組みが現出されるようになった。
そんな土台が培われ、そこでの社会慣例が日常となった後、ホシオは日本という国に生まれた。
要は、彼の世代は国にかかわらず、”それ”が物心ついてから、毎日の前提だった…、となる。
☠☠☠
やがてホシオが社会に出る年代になると、当然ながらオンラインで繋がった世界を貫通するコミュニティーでは、彼らこそ、その世論・行動源の主軸・マジョリティーを取るオピニオンリーダーとなった。
いわば、”本夜”は彼らが主導したと…。
世界中の耳目を奪ったこれから始まるカウントダウンの行方には、そんな背景があったのだ。
💀💀💀
ニンゲンが繋がって、何かを共にやり遂げる…!
こんなにも、ニンゲンやっててよかった感に浸れるコトはない。
新新型ゴロナの猛威によって従来のニンゲン交流が根底から断たれる前には、それこそスポーツ・コンサート・各集会等々…、観客までもすっぽり抱え込んで、人々はその人間ならではの感激を共有できていた。
ここでの感銘・感動から勇気を得、自らの人生を生きるパワーに転換するそんな究極のプラス循環…。
ホシオらの世代は、両親から様々な伝え方で、こうした従来からのあたりまえな人間やっててよかった感を知るにつけ、”自分もそれに浸りたい!”と強く焦がれるようになる。
💀💀💀
その焦がれる気持ち…、それは往々にして最初は淡いの望みというところであったが、次第にその望みは欲求に変異していった。
やがて、その実現欲は抑制不能なレベルに至るのだった。
個々のその思いはついには、爆発寸前のカタマリ魔に進化。
故に、本夜のオンラインによるフル通信、地球規模での一斉交信という、ネットつながりの極限的試みを想起、実現という急途を辿ったのだ。
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”今夜、やっと味わえる!オヤジたちのハナシって、それって極上のご馳走を匂いだけ嗅がされたってことだよ。ヨダレを垂らしながら。で、オレもぜひ、生きてるうちに、そのご馳走をゲットしたいって…。オレたちゴロナ以降の世代は、人と人が連帯して何かをやり遂げた喜びを分かち合う、そんな生なキモチになれる瞬間を渇望してた…。それが、今夜、やっと実現できるんだ!もうすぐ…”
こんなホシオと同じ思いを抱き、全世界の若者を中心としたニンゲンたちは、渇望が手繰り寄せたオアシスたる自分たちのムーブメントがついにクライマックスを辿る直前に胸を躍動させていたのだろう…。
あくまで良心、善意に従っての意識で…。
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