第2話 仁科隆也

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 夕飯がテーブルに並べられたのを見計らうかのように、朝霧が部屋にやってきた。 「うまそうにできてるじゃん」 「あんたのために作ってあげたんだから。感謝してよ」  1番役に立っていなかったはずの杏璃が、えらそうに腰に手をあてた。朝霧はソファに座りながら、「ありがとな」と苦笑した。  壁にかかった時計を見ると、ちょうど七時をまわったところだった。4人でテーブルを囲んで、早速食事を開始した。こんなに大勢で食事をするのは何年ぶりだろう。へんてこな組み合わせに、隆也は心の中で笑った。  ロールキャベツを食べる朝霧を、杏璃はそわそわとのぞき込んだ。 「どう?」 「おいしいよ」  朝霧が優しく微笑むと、杏璃もほっとしたように笑い返した。朝霧の隣に座る白雪も、心なしか嬉しそうだ。  ロールキャベツを一口かじると、確かにおいしかった。隆也が最後に味を整えたのもあるが、きっとそれだけではないのだろう。白雪と杏璃が一生懸命作った結果だ。そういえば母が死んでから、ろくに食事を取っていなかった。食べ逃した分を埋めるように、隆也はご飯を口にかき込んだ。  作るのは苦労したのに、30分もせずに食べ終わった。白雪と杏璃は楽しそうに話しながら、肩を並べて洗い物をした。 「……なんか、仲よくなったな、あのふたり」  ふたりの様子を見ながら、隆也がぽつりとつぶやいた。さっきまであんなに文句を言っていたのに。まるで姉妹のようだ。 「あの子、ふしぎな子だな。年のわりに落ち着いてるし、人間離れしてるっていうか……」 「そりゃあ、変わってるさ。人間じゃ、ないからな」 「え?」  隆也は驚いて朝霧の方を振り向いた。 「それ、どういう……」 「片づけ、終わったよ」  ちょうどその時、杏璃と白雪がキッチンから戻ってきた。 「ありがとさん」  隆也の質問を振り切るように、朝霧がソファから立ち上がった。 「じゃ、早速始めようか」 「何を?」  杏璃が首を傾げる。朝霧は部屋の扉を開きながら、肩越しに振り向いた。 「知りたいんだろ、殺し方」
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