第3話 七星神狩

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 夕飯を食べ終えたあと、神狩は自室で漣に勉強を見てもらうことになった。 「ここは、二次方程式を使うんだよ」  肩を並べて机に向かい、数学の教科書とにらめっこする。吐息を感じるくらい近い距離に、胸がどきどきして勉強どころではない。それでも何とか答えを導き出そうと、神狩は眉間に皺を寄せた。 「……できた!」  顔を上げて、ノートを漣の方に差し出す。漣は答えをじっくりと見たあと、さらさらと赤ペンで大きく丸を描いた。 「やっぱり神狩は要領がいいよ。全問正解」 「えへへ……」  漣の大きな手に頭を撫でられ、神狩は気恥ずかしくなって体を捩った。 「基礎をしっかり固めれば、次のテストも大丈夫だと思うよ」 「テストだと焦っちゃうの。計算ミスもいっぱいしちゃうし……」 「日頃から時間を意識して解くようにするんだ。そうすれば本番でも焦らなくなるよ、きっと」 「はぁーい」  神狩は元気よく返事をして、数学の教科書を閉じた。全身の力が抜け、椅子の背もたれに体を預ける。漣に教えてもらうのはすきだが、やはり勉強はきらいだ。大きく伸びをして、凝り固まった体をほぐす。
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