第3話 七星神狩

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「ねぇ、紫苑ってどんな人なの?」  ジュースを飲みながら尋ねると、白雪がゆっくりと顔を上げた。 「優しい人です。とても」  それから、少し考えて、 「……優しくて、弱い人です」  弱いとは、どういう意味なのだろう。そう思いながらも、それ以上聞いてはいけないような気がした。 「素敵な人なんだね」  ぎこちなく笑ってそう言うと、白雪は嬉しそうにうなずいた。足をぶらぶらさせながら、上機嫌にジュースを飲む。こうして見ていると、普段の神秘めいた雰囲気は少しもない。どこにでもいる、普通の少女だ。 「神狩は?」 「えっ?」 「神狩は誰を思って作るんですか」 「私? 私はぁ……漣に!」 「……さざなみ?」  その瞬間、白雪の青い瞳が大きくなった。 「うん。幼なじみでね、小さい頃からだいすきなの。すごくお世話になってるの。だから、漣に食べてほしいな……」  言葉にしたら、少し照れくさくなった。アップルパイを食べる漣を想像しただけで、心にぽっと火が灯る。 「そう、ですか」  白雪は小さくうなずいて、手元にあるコップに視線を落とした。それが何を意味するのか、この時神狩は気づかなかった。
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