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「奈菜はどうなの?」
「私は今回、パスって感じかな。堅苦しい男って苦手。あっ、勘違いしないでね。理帆にはお似合いだと思うよ? 理帆の真面目な感じとは合いそうだし」って吊革を持つ右手を離して身振り手振りで必死に弁明をする奈菜を見て笑っちゃったわ。
私の家に帰宅して奈菜と一緒に両親に報告すると後日、私と奈菜の両親を連れて見に行ったの。勿論、今度は私から健人に事前に連絡をとってね。両親達も文句なしだった。見学中に、私の両親が健人に細かく質問をしちゃってね。近所はどんな人達が住んでいるか、周辺の環境や犯罪発生率とか尋ねるの。健人は質問に対して嫌な顔を見せずにタブレットを取り出しながら関係する公共機関のホームページを両親達に見せて、その都度丁寧に説明していたわ。その姿を見てから、今まで以上に意識するようになったかもしれない。スーツ姿を来た大人の男性って素敵だなってね。
奈菜には何となく黙っていたけれど、実は健人と会うのはこの時が初めてじゃなかったの。菜奈も流石に憶えていなかったみたい。健人が覚えていないのも無理ないわ。いつかもう一回会えればって私が思っていただけだったから。それにしてもあの時、奈菜が健人の写真を見せてきた時は驚いたな。まさか、こんな形で再会するなんて。初恋の男性、桜木健人との再会は、この時だったのよ。
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