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「この前、千葉駅でばったり会って健人達と四人で飲んだ時あったでしょ? 理帆ちゃん言っていたよね? いつまでも過去の女を引きずっているんじゃないって」
「……そうでしたっけ?」
正直、あの日は酔っ払っていただけに記憶があやふやだったわ。
「後日、健人と飲んでいる時に笑いながら言っていたよ。『あれは効いた』って」
例え事情を知らなかったとは、不謹慎極まりない事を健人に言ってしまったんだって反省したわよ。
「無意識に言った言葉って意外と覚えていなんだよな。悪気がないだけに無条件に知らず内に相手の心を傷つけている事があるもんだよ?」
「……だとしたら私、ひどい事を健人に」
「勿論、それだけじゃないよ。さっきも言ったように、健人は理帆ちゃんを巻き込みたくなかったんだと思う。理帆ちゃんは優しいから仮に麻衣の事を知った場合、健人に寄り添うだろうって。あいつ言っていたんだ。重荷を背負わせたくなかった、一緒に苦しんで欲しくなかったって」
なんて自分翻意な考えで浅はかな考えだったんだろう。結局、健人の事を信じ切れずに都合の良いように解釈をして、さも被害者面をしていただけだったって事に気付かされたの。友香さんが言っていた通りだった。相手の事を思い遣る心が欠けていた自分が恥ずかしくなったのよ。
「理帆ちゃん、来週空いている?」って自分を虐げていた時に突然聞かれたから、直ぐに答えられなかったわ。
「……いつですか?」って聞くと、拓哉さんが日にちを言ったの。その日は特に予定はなかったし仕事は休みだったわ。
「その日は、麻衣の月命日なんだ。麻衣に会いに行かないか?」
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