雪降る深夜にコーラが飲みたい

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雪降る深夜にコーラが飲みたい

 俺は今、無性にコーラが飲みたい!  だから現在真夜中であるとか、外では雪がふっているだとか寒いだとか――その程度の障害じゃこの欲望は止められない。  よって俺はパジャマの上にジャージを着てコートを羽織り、スマホと財布をポケットへ突っ込んで家を飛び出した。  家から一番近くの自動販売機を目指し、アスファルトの上へ薄く積もった雪に滑らないよう気をつけて、足早に進む。  ほどなくして自動販売機の前へ無事たどり着いたので、数枚の硬貨を投入してボタンを押せば、いつも通りにけたたましい音をたて、コーラのペットボトルが取り出し口へ落ちてきた。 「クソっ、冷てぇなぁ!」  自業自得な文句を言いつつコーラを取り出し、さっさと家へ帰ろうと(きびす)を返した時、道の真ん中に点々とつけられた獣の足跡に気がついた。 (犬? 猫? ――たぶん、猫かな?)  踏み荒らされていない真っ白な雪の上、ポチポチと続く肉球の跡は可愛らしく、微笑ましい。その大きささえ無視すれば。 (肉球のサイズ、俺の握りこぶしくらいあるんですけど?! えっ、まさかトラとかライオンとかの猛獣が、動物園から脱走してたりすんの?!)  俺はゾッとして一瞬身体をこわばらせたが、すぐにこの近辺に動物園などないことを思い出し、誰かのイタズラだと思い直した。  すると途端に、「この足跡はどこまで続いているのか?」「終着地点には何があるのか?」と、好奇心がわいてきた。  ――ということで、俺はまたしても欲望に負け、ふわふわと雪が舞う中、コーラ片手にゲソ痕をたどってしまっていた。 (どういうことだ?)  誰かのイタズラを追いかけはじめてから少しして、俺は足を止めて眉間にシワをよせた。  雪の上には肉球の跡以外に、人間の靴跡もいくつかまざりだしたのだが……それら靴跡はどれもとても小さく、幼稚園児程度しかないのだ。
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