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コポコポとアルコールランプで暖められたお湯が上へと上がっていくのを眺めながら瑞希のことを思う。
俺は瑞希に声をかけられ、ヴィジュアル系バンドCaja vaciaのボーカルとして活動することになった。ちょうどボーカルを探している時に俺を見つけたらしい。あれからもう一年半経った。まぁ、その話は追々するとして。
俺は本名である桂島冬馬という名前から、フユと名乗ることにした。
あっという間にインディーズで名を馳せた俺達は、CDもかなり売れ、自分たちだけでカウントダウンライブをこなせるまでになった。
暮らしも贅沢こそできないものの、その収入だけでなんとか暮らすことができる。
まぁ、俺の場合はちょっとした副業があるから、そこそこ良いマンションには住んでいるけれど。
でも瑞希だって悪くないところに住んでいる。ただ、生活能力が皆無の瑞希は、よく電気やガスを止められていた。酷い時には最後の砦ともいえる水道を止められる所までいく。なんで同じ金額もらってて、そうなるんだか。あれか、外食ばかりなのと金銭感覚おかしいのが原因か。
どうも今回、正月早々押しかけてきたのもそれのような気がしてならない。
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