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「さっさと来ればいいのに。ていうか、俺と一緒に帰ってくれば良かったのに。相変わらず馬鹿すぎ。風邪ひかれた方が困る。どんだけ俺が心配するか分かってる?」
くしゃりと瑞希の髪を撫でれば、小さく身を震わせた後に頷いた。俺の方が年下なのに、瑞希の方が毎度年下みたいに思えて困る。
「……知ってる。だから……色々ごめん。起こしたのも、心配かけたのも……あと、ライフライン止められてるの知って年末年始来ればって言ってくれたのに、それを断ったくせにここに来たのも……」
もう一度、瑞希の頭を撫でて俺は笑った。元からぼさぼさだった髪の毛を、更にくしゃくしゃになるまで撫でる。
だって、俺は嬉しかったんだ。最後にこうして頼ってくれたのが他の誰でもない俺で。俺に心を許して頼るくらいは好きでいてくれてるって、少しくらいは自惚れていいだろうか。
「頼ってくれてありがとう。ひとまず珈琲飲んでて。ちゃんと牛乳と砂糖入って、ぬるめの珈琲牛乳になってるから」
最近では苦い珈琲が苦手な瑞希仕様の飲み物を作るのもお手の物。言われなくても食の好みは把握している。目を輝かせてカップに口を付けた瑞希に笑いながら、俺もお腹空いたからなんか作るよ、と声をかけてキッチンへと向かう。
そんな俺の手を、凍り付いたように冷たい手が引き留めた。
「冬馬っ! アリガトウ! オレ、いっつも迷惑ばっかかけてて……」
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