俺の足跡

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少しならと、甘い顔をしたのがいけなかった。 同情したのが、いけなかった。 昔からそうだ。弱い顔をされると、どうにかしてやりたくなってしまう癖がある。その事で自分が大変な思いをするという想像ができたとしても、放ってはおけない。 浅い付き合いの奴からは、良いやつと表現されるが……。良いやつは損をする。その事で妻に怒られたことも、ある。もう、あんなのは二度とごめんだ。なんとしても、回避しなければならない。 再度、自分に言い聞かせる。 振り返ってはいけない。俺は追いかけてくるあいつに気付いてすらいない。そのまま歩を進めろ! 我が家はもうすぐだ。もう少しだ。ゴールは、すぐそこだ!!! 息を切らすほどの距離ではない。たかだか、数百メートルの短い距離だった。 それなのに、玄関前に着いた俺の心臓は、痛いほどの動悸に襲われていた。 振り向いてはいけない振り向いてはいけない振り向いてはいけない振り向いてはいけない振り向いてはいけない振り向いてはいけない
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