泡沫の夢

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泡沫の夢

わたしの前にぽつんと立った男の子がいる。 …と、言っても見た感じが若く見えるだけでわたしと一緒くらいかもしれない。 白い透明感のある肌に、色の抜けた白い髪。 まるで絵本から飛び出したみたいな王子様のような白と青の品のある服を身に纏っている。例えるなら、中世の貴族みたいな。 それでいて、幻想的な白いマントで全身を被っている。 現実離れした姿に絶句した真ん前でひらりと飛んで見せるから、あ、え、とか日本語を上手く使えなくなってしまった。 宙を思う存分、ふよふよと浮いて漂って目が点になったわたしの前で着地する。 体育なら100点満点の軽やかさでわたしを見つめ妖しく笑う。 こうして見ると、美しくて女の子みたいだ。
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