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「…ホントに平気なの?」
ユリカがこっそり聞いてくる。
わたしが覚悟を決めて頷くと、隣にいた霧矢くんが"勝ち負けには拘らず楽しめればいいよ"と優しく声をかけてくれた。
「ちゃんとアドバイスするし」
笑顔で言って退ける霧矢くんの自信に、思わず感心してしまう。
「俺が蒼に負けるって?冗談」
霧矢くんの肩に手を置いた志波くんがニヤリと笑ってわたし達には聴こえないように耳打ちをする。
話してる傍から、みるみる霧矢くんの顔が赤くなってく。一瞬だけ目が合って逸らされた。ざわつく視界の端で志波くんがわたしに向かって舌を出す。
…もしかして、からかわれてる?
わたしが知らぬ間に会話が成立していたみたいに、不穏な空気が流れた。
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