この愛が消えてしまう前に

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『次の出張決まったよ。どこ、泊まろうかな』  そんな意味深で(とぼ)けるような諒の台詞に。 「うちに泊まる?」  ドキドキしながら彼を誘う。 『いいの? 冬優』  覚悟は決まってる?  そう問いた気なテレビ電話の向こうの諒。  勇気を出してコクンと大きく頷いたら。 『冬優?』 「ん?」 『真っ赤になってて可愛い』  クスクスと楽しそうに笑った彼に舌を出してしかめ面をした。  私をからかう、その余裕が悔しい。 『怒らないで? でもその顔も好き』 「もうっ!!」  そうして初夏、初めて諒が私の家を訪れた。
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