ハニーアップルパンチと友情

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「500円になります。」 お会計をするときに、私は一言聞いてみた。 「あの、また来てもいいですか?」 猫葉さんは、さして驚いた様子もなく、ただ少し嬉しそうにこう言った。 「お客様が困ったときに寄り添うのがtea edgeです。また何かあったらご来店なさってください。」 私は、来る時以上に笑顔でお店をあとにした。 明日は、いつもの完璧な私じゃなくて少しだけ本当の私を見せてみようかな。 きっと、真那と美弥なら受け入れてくれるはず。 だって、私はあの二人が好きだから。 ―――――― 「あの子は結局、なんでストレスを抱えてたんだろうねアルヴィン伯爵。」 カウンターで一人後片付けをする女性―猫葉 紅―は午後1番陽の当たるカウンターの角席でくつろぐ黒猫に話しかけた。 猫は少し鎌首をもたげ紅をじっと見て一言、ニャァと鳴いた。 「友情って難しいね。」 紅は一冊の手記を手に取り、今日作った紅茶のレシピと少女の悩みを記す。 そこには、ハニーアップルパンチと友情と記されていた。
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