その魔人、真実に辿り着きにつき!

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その魔人、真実に辿り着きにつき!

俺と魔人シモンはシルフィの導きに従い、鬱蒼とした茂みの中を突き進む。 俺たちの後ろには大天使たちと、サカエファミリーがゾロゾロと続いていた。 ちなみに、天使たちと騎士団たちはスラオシャと共にディケーナでお留守番です。 スラオシャ・・・すっごく拗ねてたな・・・。 「魔王よ。本当にこんなところに母の足跡があるんですか?」 『あぁ。今のところ、順調に辿っているぞ。』 シルフィが精霊たちに道を確かめながら歩いているため、立ち止まったり駆けたりと、ここ二時間ほど変則的な行進を強いられている。 シモンの顔に少しの疲れを見て、俺は一旦足を止めると、後方を歩く皆に目を向ける。 皆、疲れは見えるが限界というわけではないようだ。 間もなく日も暮れそうだし、急いだ方がいいのだろうが、皆の体力を考えると日を改めることも頭をよぎる。 どうすべきか悩んでいる間に、気がつけば林に入ってしまった感じだ。 「ふぅ・・・それで?私たちが歩いてる道はどこに繋がっているんですか?」 『今歩いている道は、お前のいた王都の美神教(カリテス)から、精霊の情報を辿ってきた道だ。つまり、当時お前の母が実際に歩いた道ということになる。』 「母がここを?こんなところに何の用があるというのです?」 『それは、精霊のみぞ知る、だな。もしかしたら、世界の果てまで続いているかもしれん。』 「世界の果て・・・。はぁ。」 隣のシモンは頭を抱えると深く息を吐いて、目の前に広がる薄暗い林を眺めた。 『お前の母がここを通ったのは間違いない。なら、お前なりの予想を立ててみてはどうだ?』 「私の予想・・・ですか?」 『我は魔王で、お前は今、魔人だ。そして、お前の母は普通の人間。しかも女性だ。今、我らが感じている何倍もの疲労を感じていることだろう。お前の母が人の足でここまで来て、何をしようとしていたのか。それをお前は考えるといい。』 「そんなもの・・・分かるわけないでしょう・・・。」 シモンは眉間に皺を寄せると、少し気だるげに思考することを放棄した。 自分を捨てた相手の気持ちを理解しろと言われているのだ、そんな顔にもなるよな・・・。 『まぁ、無理にとは言わない。ただ歩くだけではつまらないだろうから、提案しただけだ。王都から離れた草木が鬱蒼と生い茂る場所に女性一人で来た理由が、今のところ我にはサッパリ分からんからな。お前も一緒に考えて欲しかっただけだ。』 「母は私を捨てたんです。他に男がいたとか、ありきたりな、しょうもない理由ですよ。」 シルフィのあとを着いて歩きながら首を捻る俺に、鼻を鳴らして答えると、考えるだけ無駄だと首を振った。 『そうとも、限らないんだよね・・・。』 『ん?シルフィ?』 先を行くシルフィは、少しシモンに振り返ると少し悲しげな表情を浮かべて前に向き直る。 精霊と会話できるのは、今のところシルフィだけだ。 その道中で何か新たな情報を得たのかもしれない。 『何か分かったのか?』 『分かったというか・・・私は事の発端である美神教(カリテス)から辿ってるからね。その足跡や思考は精霊たちから聞いてるから、答えは分かってるの・・・。だけどね?これは、うん。私の口から言うことじゃないと思う。そして、ダーリンからも。この真実は、その子自身が気付かないと意味がないんだよ。』 『ふむ。』 『だから、ダーリンも真実が分かっても絶対に口にしちゃダメだよ?』 『あ、あぁ・・・。分かった・・・。』 少し口調が強くなったシルフィに圧を感じた俺は、強く頷くとシルフィの後を追って歩みを進める。 「魔王?どうしたんです?」 『なんでもない。とりあえず、皆も逸れない様に気をつけようって、話だ。 』 訝しむシモンに、ヒラヒラと手を振ると先に進むシルフィに続く。 シモンは頭から母親を許していないし、俺は俺なりに別視点から真実を探すとしよう。 真実は探さなければ、辿り着くことはないんだから。
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