蒼き空と白き羽は心動かしにつき!

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蒼き空と白き羽は心動かしにつき!

ついにこの日がきた・・・。 天使族が歴史的に復活し、同時に人々と手を取り合うことを世界に示すときだ。 書面での契約は数日前に終えているので、今回のものは形式上というか、世界へ示すための一種のパフォーマンスも兼ねて行うものとなっている。 俺は王様の特別招待客ということで、王様の用意した席に腰を下ろした。 何席も並ぶ席の一番前の右。 つまり、今回の出席者の誰よりも重い席へと案内されたわけだ。 もうなんというか・・・胃が痛い・・・。 「あー・・・。もう帰りたい。」 「あ、あはは・・・。確かに疲れたねー。席に案内されるまでに、二時間くらい挨拶の嵐だったもんね。」 「仕方ないよ。それだけ、今回の件でユーくんが注目を集める存在になったってことだろうし。」 席に座るなりぐったりとした俺に、観月とウリエスが苦笑を浮かべて背中をさすってくる。 そのまま、ゆったりと俺の隣へと二人は腰を下ろした。 「全部、国王とその他大勢のせいだからな・・・。まったく。一人ひとり、あとで文句言ってやる・・・。」 「まぁまぁ。王様もみんなも悪気があったわけじゃないし。むしろ、こんな素敵なドレス貸してくれたし、ありがたい話だよね。初めて着たよ。こんなお花みたいなドレス。」 「うん。すごく綺麗なドレスだよね。ボク、女性らしい服って持ってなかったから助かっちゃった。」 「まぁ、それに関しては王様に感謝だな。結構、上等なドレスみたいだ。お姫様みたいで似合ってるよ。とっても綺麗だ。やっぱり、二人とも自慢の奥さんだね。」 「「うぅ~~///」」 今回の式には魔王として参加するかと聞かれたが、現場が混乱するといけないないので、辞退することを伝えたが、王様から参加命令が下ったので渋々ながら人間として参加する旨を伝えた。 何の思惑があってか知らないが、どうしても今回の件の功労者として、俺を皆に紹介したいようだった。 というか、表舞台に引きづり出すことが目的のようにも思える。 女神さんの件もあるし、本当にそっとしておいてほしいのに・・・。 逃げようとしたが、顔を立てると思って出席してくれとワルフォイ様に脅され、領主様に怒られるからとギルマスに脅され、俺は今ここにいる。 おまけに上等な服を、ご丁寧に奥さんの分まで用意されたとあっては逃げることは完全にできなくなった。 ドレスを見た奥さんたちの顔がキラキラしてたし、何より俺自身が彼女たちの美しい姿を見送るわけもないだろう。 もう・・・俺の弱みをよく分かってるなぁ、国王(あの人)はと、白旗を振って準備を始めたのが一昨日昨日の話。 いざ迎えの馬車に乗って城に来てみればだ、周りの民や兵士もちろんのこと、王都貴族は“人間”の俺の姿は知らない。 観月、シルク、ハヤー、ウリエスと美人美少女を釣れた若造が突然、現れたのだ。 皆、騒然としていた・・・。 ただの冒険者が、こんなところに何の用だと城に入場した時点で奇異の目に晒された。 中に入れば、集まっていた王都貴族からジロジロと・・・。 しかも、うちの奥さんたちばかりジロジロと・・・鼻の下伸ばして見てきやがって。 殺ったろうかな?と正直思ったのはここだけの話・・・。
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