プロローグ ~Summer days~

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プロローグ ~Summer days~

 蝉の鳴き声が遠く聴こえる。    わかっている、これは夢。  ああ、夏の夢だ。  青い空には真っ白な入道雲。  日差しがまぶしくて、思わず顔の前に手をかざす。  いつもの公園、小さな滑り台と赤いベンチ。  そして、キミの好きな黄色いブランコ。 「パパ!」  うん、なんだい?  うしろから小さな女の子の声。  懐かしい。あのころのキミの声だ。  お出かけのときは、いつだって一緒だった。 「パパのこと、ちょっとだけ大好き!」  パパはね、キミが大好きだよ。 「ナツね、背がいっぱい伸びたら、パパのこと、いっぱい大好きになるんだ!」  そうか、それはとても楽しみだな。    僕は、素直じゃないキミが大好きだ。  今だって昔だって、ずっと変わらずに。  ずっと、大好き。  瞬間、涼しい風が吹き、砂が舞い上がる。  勢いよく、前に駆けてくる足音。  途中で転んでしまわないか、心配になる。    うしろを振り返る僕。  満面の笑みを浮かべるキミをぎゅっと抱きしめようと、思いっきり手を広げたところで。  ────目が覚めた。
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