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「新年、とうとう明けちゃったね」
“明けちゃった”という言い方が、いかにも彼女らしくて、僕は、おもわず頬を綻ばせる。「そうだね」
「ねぇ、どうせなら――今年の目標決めない?」
「目標?」と、僕は聞き返す。
「そう。せっかくだしさ」
「う~ん」僕は唸った。
「そんな、急に言われても思いつかないなぁ。そっちは?」
すると、彼女は黙った。
「……どうしたの?」と、声をかける。
彼女が、僕の名前を呼んだ。
「……何?」
「約束、して」
「何を?」
「――死なないことを」
僕は、スマホを握り直した。しばらくの間、なんと答えていいのか分からず、今度は僕が無言になった。
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