やられたからやり返す。それのどこが悪い?

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◆ 「ぶわっ!」  息苦しさに、彼女は咳き込み、口の中にあった瓦礫の粉塵を盛大に吐き出した。  視界がゆっくりと戻ってくる。  青い空。立ち昇る黒煙。焼け焦げた壁の残骸。  あたしは何故倒れているの?  胸の辺りが重い。  もう一度激しく咳き込む。  喉に残った粉塵が血とともに宙を舞う。  頚をゆっくりと起こす。  仰向けの躰の上に何かが乗っている。  グレーのジャケット……?  パパなの?  自分の躰が重いのは、父の大きな躰が覆い被さっているからだと悟る。 「……パパ?」  彼女は自分が思ったほども声が出ないのに驚きつつ、喉のみ痛みをおし、再度父を呼ぶ。 「パパ?」  返事はない。  焦点が合ってくると、父のジャケットには大きな穴が空き、焼かれたような煙が燻っているのが見えた。赤黒い何かも付着している。  
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