やられたからやり返す。それのどこが悪い?

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  グオーッという爆音が不意に聞こえ、何事かと思う間に耳をつんざく凶暴な音へと変わっていった。  いつもと変わらぬ朝食時。  パパの向かいにあたしが坐り、隣は弟。その向かいがママ。  神様に感謝の言葉を述べ、朝食を食べようとした矢先、『ウォール』の映像が不意に赤く点滅し、緊急警報を発した。それとほぼ同時に爆音が近づいてきた。  パパは、マズい、というような表情を浮かべた、と思う。そして轟音が最大限に近づいてきた時、多分、パパはあたしにジャンプしてきた、と思う。  そして、暗転。  気づくと、壁と天井があった場所から乾いた空がバカみたいに青く見えていた。  パパは生きているのだろうか? お腹に力をいれ、パパを起こそうとするが動く気配がない。  ママは? 弟は?  あたしはしばらく呆然としていたが、痛む頚をゆっくりと横に振った。  するととてもひどい光景が目に飛び込んできた。  食器棚が壊れてお皿も何もかもが粉々になっていた。大きな冷蔵庫もクシャクシャ。ママが大事にしていた飾り棚も、パパご自慢の家庭デバイス『ウォール』も全部粉々……。 「あっ、あたしの、うさちゃんは……」  先月の誕生日に買ってもらった二匹のうさちゃん。  大事なうさちゃん!  ふっと視界の端に白い尻尾が見えた気がした。  あたしは痛む頚をゆっくりと上に向けた。  すると、すぐそばに、何かがあった。  半分に砕けた頭蓋。  弟……?  その半分の眼球と目が合って……。   あたしは再び気を失った。  ◆  グホッ。  ぬるりとした不快な記憶が心を舐める。  ヌヌは口の中に入った泥水を嫌悪感をもって吐き出し、腕で拭う。  十年以上も前の記憶。  ヌヌの心に恨みを孕んだ怒りが燃え上がる。  殺る!  あたしは家族を殺した奴らに復讐するために生きているのだ。  この試練に立ち向かい、生き残り、立派な戦士となり、敵を倒すのだ!  両腕で上体を素早く起こす。  が、時すでに遅し。一頭の軍用犬がヌヌの正面に躍り出てきた。
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