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「来たわね!」
逃げるかのように背を向け、攻撃を仕向ける。
犬はすぐに陽動にひっかかり、勢いよく飛びかかる。
ヌヌは両手で輪を作り自分の後頭部へ。その瞬間、犬の頭が。
フフッ、予想どおり。ヌヌは不敵に嗤う。
両の親指を犬の柔らかな頚にめり込ませつつ、背を丸めて直立する。
重い……。優に四十キログラムは超えているだろう。犬はその大きな躯体を鮫のようにくねらせ、逃れようとする。
もちろん放す筈がない。
暴れる犬を、背中を丸めて前に振り落とす。その勢いを利用し両親指に全体重をかけ、仰向けになった犬の喉にめり込ませていく。
グゥン……。
死に怯える犬と目が合った。
「……」
一瞬、ヌヌの心に憐憫の情が込み上げる。
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