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私は運命的な出会いをした。今、その彼の足跡を辿っている。
彼と最初に出会ったのはあの街。
彼と目が合った瞬間、お互いに何かを感じていたはず。
私は、彼を探した。一日中探した。毎日毎日探した。そして見つけた。
でも、ただ見つめるだけ。それだけでもよかった。
見つからない日とただ見つめる日の繰り返し。
そして、運命的な出会いから100日目。ようやく彼に声をかける決心がついた。
待ちわびたこの日。彼に近づく。
「あの、私、あなたのことを」
今私はある女に付きまとわれて困っている。
あいつと最初に出会ったのはあの街。そしてその後、毎日毎日あいつを見かけた。
私は気が狂いそうになった。
あいつはいつも夕方になると駅の階段付近で立っている。
今日も遠目からあいつを確認した。
今日のあいつはベージュのコートに青のジーンズを履いている。確かこのコーディネートは以前もあった。そして、何気なくあいつの手元を見ると、持っているスマホのカバーが変わっていた。そういえば昨日、駅前の量販店で買い物をしているあいつを見かけた。どうやらその時に買い替えたようだ。若干私のスマホケースに似ているような気がする。
前にもこんなことがあった。私が持っていたトートバッグと同じものをあいつが持ち歩いていたのだ。それを発見したときは愕然とした。
次はどんな物を私とお揃いにしてくるつもりだろうか。
今日のあいつは遠目からだと少し疲れているように見える。きっとコンビニのアルバイトで、誰かに何か嫌なことでも言われたのだろう。
アルバイト先のコンビニから徒歩10分のところにあいつの家があるのだが、家の前を通ると飼い犬が吠える。あれだけはどうにかして欲しい。私は犬が苦手なのだ。いい加減、私のことを覚えて欲しい。
そして、窓の外からでもわかるのだが、あいつの部屋には韓国男性アイドルのポスターが貼ってある。今どきの女子だ。
私は、少し遠くに高層の建物を見つけて、わざわざ高性能の双眼鏡を購入し、あいつの部屋を見てみたことがあるのだが、あまりはっきりとは見えなかった。せっかく高価な双眼鏡を買ったのに。また気が狂いそうになった。
そんなことをぼんやり思い出していると、突然あいつはこちらを見て、私の方へ近づいてきた。そして、私の前に来て緊張気味に言った。
「あの、私、あなたのことを、前から知っていたような、前から会っていたような気がするんです。他人じゃないと言うか。すみません。変なこと言って」
私は笑顔で答えた。
「そうだったんだ。僕、ずっと前から君のストーカーなんだよ」
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