LAST

2/3
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
予想通り僕のあの役は当たって、爆発的人気が出た。ファンが一気に増え、同業者もすり寄ってくる。華やかな女優やモデルが秋波を送ってくる… しかし勃たなくなった。 それが彼女の呪い、置き土産。 彼女と付き合っていた頃聞いた昔話から、僕は彼女に雑草みたいな印象を持っていた。 色々厳しい出来事が幼少期から降りかかってきても、強くしなやかに生きてきた彼女。 どんな状況や場所でも、根をはり葉を伸ばす生命力溢れた彼女。 同郷ということもあって、僕のシンパシーは強かった。 そんな彼女がアイツに温室栽培され夢を見た。 見る人全てが賛辞する華=女優になる夢。 彼女は将来の自分をイメージし、様々なトレーニングを頑張っていた。 なのに僕の仕返しが波及し、同様の事をアイツが彼女にしていたのが発覚した。 過去のキャスティングの殆どが、アイツが裏で糸をひいたものだったと知った時、高みを目指してた彼女を打ち砕いた絶望。 『チャンスはチャンス。最大限に活かさなきゃ』と僕には言ってた癖に、根っこは真面目で健康的な思考の持ち主だから、彼女はかなり凹んでみえた。 事務所の応接室から勢いよく出てきた彼女が、室内のアイツを振り返りながら激しく非難していた。と伝え聞いて、彼女が僕の元へ戻ってくれば良いのに…と少し思った。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!