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「翔琉君、セックスはね何かを得る為の行為だよ」
大の大人が全裸の状態で体育座りをして、膝に両腕と顎を置いて喋り続けている。今日に限って、奴は人の名前にわざわざ君をつけて何回も呼ぶ。
ムカつく!
「子を得る為。単純に快楽を得る為。愛や信頼を得る為人それぞれあるよね。俺の場合は勿論佐竹ちゃんの愛を得る為!」
相手をするのも馬鹿らしく、黙殺していると聞き捨てならない事を言い出した。
「オイシイ案件を得る為ってのもある…所謂枕営業」
奴は顔を伏せ忍び笑いをする。
「翔琉君、君が何故あのオイシイ役にキャスティングされたと思う?アレ、ヒット間違いなしのやつだよね~」
悪寒が僕の背筋を駆け抜ける。
悪い予感がする。
再び視線を僕に据えて、悪魔が事実をばらす。
「俺が枕シテあげた」
「!!」
「潔癖症の君の代わりにね!」
「はあ!?…何言ってんだ…アンタ。あんな大役、そんな事で決まる訳…」
「あるんだよ。この業界の裏世界」
チッチッチと奴は人差し指を左右に振り
「番宣や取材で忙しくなり過ぎて、佐竹ちゃんに会う時間無くなったでしょ?」
「!?」
「俺からのプレゼント。佐竹ちゃんを貰う代わりに」
視界が真っ赤になる。
太陽が今日という日に別れを告げてるせいじゃない、怒りのせいだ!
僕はベッドを飛び越え、奴と組み合う。
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