第1ステージ 『年下の男』

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『そうだ、これこれ。』 鼻歌を歌いながら、コンビニで買ったばかりのチョコレートを出し、おもむろに封を開けようとするが思ったより頑丈で簡単には開いてくれない。 『もうなんなのよ。』 力を入れすぎ逆に勢いよく袋が開いてしまった為、辺りに中身が飛び散る始末。 『もう最悪、勘弁してよ。』 そんな事をぶつくさ呟きながらも一つ拾い上げ、息を吹き掛け埃を取ると口の中へ放り込んだ。 『美味しい、これは正解ね。』 もう一つとついつい手が伸びてしまい、この甘さと一緒に顔までもとろけてしまいそうだ。 これに一番合うのはもちろんコーヒーと思い込んでいるこの五感は、汗を掻いた後、冷たい飲み物をぐいっと行きたいところだが、ここはあえて相性の良いホットコーヒーを選ぶ。 冷凍室から買い置きしていたこれまた値が張ったが大好きなブルーマウンテンを出し、ドリップで落とす。 一滴一滴と静かに落ちる音と共に香りがパッと部屋中へ広がった。 『この香り、最高。』 これまた癒される瞬間と独身生活を楽しみ、出来立てのコーヒーをマイカップに移しそのままブラックでいただく。 そして、チョコレートとコーヒーを両手に持ち、換気扇の下へと移動だ。 愛煙家のアタシだが部屋や洋服、布団に匂いがつくのはマイマナーに反する為、家では換気扇の下かベランダへとホタル族の一員になり一服するのがお決まりだ。 たばこに火をつけ軽く吸い込み、今日一日の締め括りに相応しいこの三点セットはたまらない究極の癒しだと感じた。 なんて堪能しているのも束の間、突然、携帯の着信がリビングに鳴り響き、相手は学生の頃からの親友、足立奈保(あだちなほ)からだ。
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