第1新潟 妹が新潟自虐な理由

4/4
前へ
/4ページ
次へ
 ドアを強く叩く音がした。無視していたら、地元でロック歌手をしている妹が部屋に入ってきた。 「お前か!? 人の世界史のノートにラクガキをしたのは!」  お隣の家まで聞こえそうな大声だった。ラジオの音がうるさくて怒ってるんじゃなくて良かった、これからも新潟のラジオが聞けるぞ、と少し安堵し、妹の手に持っているノートのページを眺めた。切り身になる前の一匹ものの鮭の絵が、ノートの空白にたくさん描かれていた。油性マジックでリアルな作風だった。 「それ書いたの私だよ」 「このノートは明日先生に提出しなきゃならないんだ。なんで鮭の絵なんか描くんだ」 「その方が勉強するテンションがあがると思って」 「そうか、ありがとな。先生にラクガキを見られる身にもなってみろ。ラクガキしてると思われて恥ずかしいわっ」  その発想は私にはなかったので、反省した。 「ごめん」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加