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どうして写真を撮りたいのか、聞かれたことがある。 花が枯れるのが嫌だった。 小学生の頃、学校の花壇が枯れてしまうのが寂しかった。 でも、共感されることはあんまりなくて、 女々しいとか言われたような気もする。 だから、小さい反骨心からお小遣いを貯めてデジタルカメラを買った。 それ以来、買い替えることはなくずっと使い続けている。 プールの帰り道だったと思う、 クラスメイトの女の子に話したことがあった。 「だって、枯れてしまっても写真の中で残るんだよ」 彼女だけは話に乗ってくれた。 「楽しそうじゃない、自然もいいけれどアタシも撮ってよね」 まるでモデルのようなことを言う彼女に思わず笑ってしまった。 それ以来、彼女とは仲良くさせてもらっている。 ……色んな季節が過ぎても、フレームの中で残るんだ。 子供心にそんなことを考えていた。  ・・・ 桜の木の足元にあるベンチに座り、 ペットボトルのお茶を飲んだ。 葉桜はとてもキレイで、みずみずしい緑色に輝いていた。 その木の枝に青い色をした野鳥が止まる。 ……はじめて見る鳥の種類だった、尾が長いんだなあ。 木々の葉と共に綺麗に輝いているようだった。 その一瞬を狙ってシャッターを押した。 自然を愛でるから<みどりの日>だと納得してみた。 誰かの受け売りかもしれないけれど、 この季節は本当に彩りが増すんだなって思う。  ・・・
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