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少し休んでいると、遠くで怒鳴り声が聞こえた。 一瞬で緊張してしまって、僕の休憩は終わったような気がする。 声のあった方に恐る恐る顔を向けてみると、神社の正面で男性同士が言い争っていた。 車を当てたかどうか、ささいなことでも揉めているようだった。 僕は大人げないとため息をつくしかなかった。 ふと、写真の題材を思いついた。 彼らに気づかれないように近づいて、 物陰に隠れながらファインダーを覗く。 気づかれたら、すべてが終わりだから気を付けないといけない。 彼らの顔が写りそうだ……。 レンズの角度をちょっと下げてみる……。 彼らの足元しか映っていない、これなら行けそうだ。 僕はシャッターを切った。  ・・・ 家に帰って、今日撮影した写真をプリントアウトして眺めていた。 それにしても、最後に取った写真は面白かったと思う。 ケンカしている男性たち……。 撮影したのは彼らの足元とと太陽で伸びる影だけだった。 これだけを見せられたら、穏やかに話しているように思えるはずだ。 このようにキリトリしてみると、 まったく別の雰囲気になって面白いなって思うんだ。 引き続き写真を眺めていると、白いツツジと春の女の子のツーショット写真があった。 相変わらずキレイな写真だなあ。 今日の彼女はどんな風に過ごしたのだろうか。 テレビでは一週間先の天気予報をやっていたけれど、あまり気になっていなかった。 明日、教室で顔を合わせられたらいいなって思う。 みんな、穏やかに過ごそうって思うんだ。
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