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手元を休憩させずに情報を待つ鏡矢に、彩果はさらりと機密事項ではないかと思う内容を送信した。
「爆発物についての情報よ。被害状況から、爆薬の量がかなりの物だったと予想されてるし、外枠を集めて調べてみたの」
彩果の『相棒』は、爆弾そのものだ。飛散した欠片を繋ぎ合わせるなど至難の業だが、無数の『相棒』と培った経験値で、不思議な力とはまた別の技術を身に着けている。その能力を買われ、彼女は警察の捜査に協力しているのだ。
「バラバラになったものを集めるって、相変わらず爆弾の修理に関してはピカイチだね。それで?」
「……足りないのよ」
「足りないって……何が?」
「起爆装置。発火させる物が見当たらないから、犯人が直接やったとしか思えない」
「けど、そんなことしたら、規模的に犯人が死ぬ。だから」
「『相棒』を使って、時限爆弾になり得る想像を作り上げたのだと思う」
「もしそうなら、犯人は『相棒』の力を犯罪に使った、スティンクということになる。……そういうことだね」
2人で1つの文章を作り上げ、真相に手を伸ばす。それが終わると、彩果はふ……と、詰めていた息の温度を常温にした。
「話が早くて助かるわ。私が予想している犯人の『相棒』は、花火か何かじゃないかと思ってるの」
「あー、なるほど? 確かに、それなら燃えてなくなるもんね」
「ええ。ただ、廃墟の電球の破片がやけに散らばってたのが……気になるんだけど」
懸念を口にする彩果の膨らむ不安を感じ取り、マウスを動かす手を止めた。加速しないように、なるべく配慮して話す。
「もし、犯人の『相棒』がそういうのなら、破片とかが混じっちゃってるかもってこと?」
「可能性は捨てきれないわ」
「そっか。……とにかく、怪しいヤツのリストから、その方向のを『相棒』にしてるヤツ探してみる」
「よろしく。……なんだか、嫌な予感がするのよ。これが、ただの始まりじゃなきゃ良いけど……って」
「……だね」
鏡矢は比較的落ち着いているように聞こえるが、キーボードに伝わる力は3割ほど強くなっていた。
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