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「さぁて、どうなってるかな〜?っと」
簡単に昼食を済ませ、【黒猫ちゃん特製・怪しい人発見システム】に引っかかった人物に目を通していく。
「ふぅん、10人か。意外と多かったなぁ。」
何やら挙動不審だった人、用もないのに店に入り浸っていた人、普段利用しない場所にいた人、様々だ。平日の昼間ということもあり、ある程度は減らせることを予想していたのだが、どうやら検討が外れたようだ。
「なら、ここから『相棒』を洗っていこうか。発火するものを当たるように……検索っと」
エンターキーを押すと、既に組み込まれていたシステムが目まぐるしく動き出す。手慣れた仕事だということだ。
……しかし、出てきた文字は1つだけだった。
「【ERROR】……か」
赤い文字に警告され、眉を寄せる。これでは、先に進めない。
「……電球……ねぇ」
ふと、渡された情報を反芻していく。まさかと思いつつ、不可能ではないことに賭けた。
「最近はLEDの方が多いけど、『相棒』だとしたら、何があるかわかんないもんね……っと」
カチッ、と、小気味良い音で命令する。……すると、先程よりも元気良く、ある顔写真を突きつけてきた。
「ビンゴ! えーっと、何々? 『田沼沙織』って女で、普段は現場近くにいるわけじゃないのか……」
自分で作ったシステムだが、外に自慢したいほどに必要な情報を提示してくれる。ホイールを回していき、下へ下へと動かす。
「けど、その日だけは、現場から1番近いコンビニの前にずっといたわけだ……。はは、まるで観察してるみたいだな」
嘲るように笑う先では、当時の映像が流れていた。
爆音に驚く人々の中、ただその方向を、ジッ……と眺めていたのだ。
「それでー? 『相棒』は〜っと、……!」
パソコンの画面には、鏡矢の推理は全く的外れではなかったことを示す文字が、映し出されていた。
「……決まり、かな」
置いていたスマホを手にし、電話帳のアイコンをタップした。
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