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男の子のくだらないところ一
それは確か夏だった。人生始まったばかりの私は正義も悪もよく分からなかったが、許せないことは本当に多くあった。ただのかくれんぼだとしても、ズルをするのは本当に許せなかったから、普段だったら日が沈む前に終わるかくれんぼが事件になってしまった。
かくれんぼの鬼が私を見つけることができずに仲間と帰ってしまったのだが、その鬼が遊びのたびにズルをしているのが私には許せなかった。だから隠れ続けた。日が沈んでも私は、かくれんぼの舞台となった神社の境内の物置小屋で息をひそめていた。いつしか眠ってしまった私にパトカーのサイレンが聞こえた。
大人たちが私を呼ぶ声も聞こえた。私はそれでも息をひそめていた。ズルをしていた鬼が困るならば警察沙汰になっても平気だとどこか思っていた。
ガラッ。ぼんやりと物置小屋で息をひそめていると物置小屋の扉が開いた。
「見つけた。結ちゃん、やっと見つけた」
そこにいたのは一緒にかくれんぼをしていた男の子三人。大人たちが、その男の子たちを退けて私を囲んだ。
私は大人たちに説教される中、三人の男の子たちの顔をよく見た。夜も遅いのに、私を探すために残ってくれた三人。その三人はその日から私の大親友になったのだ。
あれから十年は経っている。当たり前の仲良し四人組で、このまま当たり前に大人になって人並みの幸せを求めていく。人生とはそんなものだろうか?
私以外の男の子たちは早々と夢を見つけて、それに向かって時間をあてている。私だって彼らを応援している。それでも腹の立つことはあるのだ。
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