男の子のくだらないところ一

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「直人、お疲れ様ーー! 」  大陸が直人にそう声をかけるが、直人はテーブルに突っ伏している。隼人は黙々とスマホの画面を眺めている。  大体二週間に一度はこの光景を目にする。私達はいつでも直人を祝福できるように結果発表の日は行きつけの喫茶店に集まる。ここに通い出したのも、直人がカフェで執筆したいと言い出したから、みんなでこの寂れた喫茶店の扉をくぐったのだ。 「今回もレベル高いな」  みんなのサポート役に徹している隼人はスマホをスワイプしながら、ブツブツと言っている。 「直人はよく頑張ったからね」  私がそう声をかけると、直人は突っ伏したまま、ゆっくりこちらに顔を向ける。まるで錆びた機械みたいにギチギチと音が響きそうにこちらを見て無理に笑った。 「結だけだよ。慰めてくれるの」  いや流石に二週間に一度、こんな顔見てたらそのうち私も言わなくなるだろう。小説投稿サイトの短編のコンテストに直人は二年前から投稿しているが、全く端にも棒にも引っかからない。小説家になりたい直人は、やっぱり昔から沢山本を読んでいたし、今でも暇があればスマホで小説読んでいる。小説家になるための勉強を怠っている訳ではない。毎回、直人は新作を私達にも読ませてくれるがそれなりに面白いと思う。ただ、入選する作品は直人の作品よりもっと面白いのだ。 「まぁ次頑張ればいいじゃんね?」  大陸はこの中では一番身体が大きいが一番優しくもある。リアリストの隼人とは違うのだろう。  だからといって隼人が厳しい訳でもなく、直人が入選できるように色々とアドバイスをしている。友達思いなのは、大陸も隼人も同じだ。その空間の中にぽつねんと居座る私が異質なのかも知れない。 「あーもう。次何書けばいーのぉ?」  直人は情けない声を出すが、誰も声を出さない。この台詞も二週間に一度のお決まりなのだ。
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