男の子のくだらないところ二十六

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「そりゃ壊れたことあるけど直して使ってるんだよ!」  大陸は鼻息荒くする。 「人からもらったもので三人お揃いなんて、これだけだもの!」  あんたらはやっぱりそういうとこあるよな。直人も鼻息が荒い。私が否定する訳ないだろうが。 「結のお父さんが中学の進学祝いにくれたんだから、そりゃ大切にするよ」  隼人も静かに言ってるがちょっと怒ってるかな? 「そういうとこ、いいよな。きっとお父さんも喜ぶ」 「いやいや結、結のお父さんのために付けてるんじゃないんだよ。俺らは、このお揃いの腕時計が本当に嬉しかったんだよ」  直人が安心したように笑顔で告げた。 「別段高いものでもないのは俺らも分かってるんだよ。それでもお揃いなのが今でも嬉しいんだよ」  大陸の機嫌も直ったようだ。 「ま、これ受け取ったとき、結のお父さんにこれからも結のために時間を使ってくれって言われたけどね」  隼人の突然のカミングアウト私の顔が火照ってくるのが分かる。 「お父さんが?」 「そ。結のお父さんが」  いいタイミングだと思って聞いてみたが、これはブーメランってやつかな? 大陸はニヤニヤ笑ってる。ちょっと恥ずかしいや。 「お父さん、そんなことするタイプじゃないのに……」 「あのお母さんを捕まえた人なら、それくらいするんじゃないの? あんまり見せないだけで」  直人の言うとおりかも知れないが、これではお父さんが他にこいつらに何を吹き込んでいるか分からない。そういうのはお母さんだけだと思っていたのに。 「娘さんの知らないところで俺ら仲良くしてるからーー」  大陸の一言がスイッチとなり、直人も隼人も意地悪になる。 「結が聞いてないこと、沢山あるんだろうなぁ」 「でもさ、結のお父さん、俺らにも結構厳しいんだぞ?」  私の知らないお父さんの話が出てくるが、具体的な内容がないあたりが腹立つ。 「なんだかんだ言って、いい人だけどさ。ま、結のお父さんもちょっとだけ意地悪したいときもあるんだろ?」  直人の言葉に納得してしまう。 「てか、次は結だろ? 早く歌いなよ。待ってるんだけど?」  そう言えば私の番だった。ちょっと叫んで発散するか。大陸が待ちぼうけしていたみたいだし。  尾を引かないのは、こいつらのいいとこでもあるが、時々ちょっとだけ意地悪なのは、やっぱり男の子のくだらないところだ。  
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