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「しかし、大陸沢山持ってきたなぁ。毎回どうやって集めてるんだよ?」
「父さんが会社で買わされてるだけだよ。得意先からね」
聞いた直人も大人の社会にちょっとうんざりした顔を見せる。
「いいじゃないか。俺らはただで花火できるんだしさ」
隼人は物分りがいいな。まぁ大人の事情は大人に任せるべきだ。
そうやって花火を楽しんでいると、公園の一角から悲鳴が聞こえる。
「きゃあ!」
それを聞いた瞬間、三人は一斉に声の方向に向かって歩く。
「ロケット花火を人に向けるんじゃねぇよ!」
ロケット花火を人に向けて打った小学生たちを大陸は叱りつける。
「うっせーよ!」
小学生は怒鳴り返す。
「お前はロケット花火打たれて平気なのか?」
直人も諭すように叱る。
「そんなの許す訳ないだろ!」
「なら、なんでいいんだ? 人が怪我したら、それは犯罪だけどな? 警察呼ぶか?」
小学生たちは、しんと静まる。隼人の一言が聞いた。
「みんなで楽しめるほうがいいだろ? ほらこっち来い。俺らのとこ花火いっぱいあるからな」
大陸はそう言って小学生たちを連れてきて、大陸が持ってきた花火を渡す。
「一応、俺らが一時的な保護者ってことで」
大陸はケラケラと笑う。
「いいの?」
小学生たちは面食らうが、私らに反論はない。
「ただ、さっきロケット花火向けた人には謝るべきじゃないかな?」
再び直人が諭すように言うと、小学生たちはロケット花火を向けたお姉さんに謝りに行った。
「あんたら、本当に男の子だよね。正義とかそういうとこは」
私の言葉に三人とも首を振る。
「俺らだって小さいとき、さんざんに迷惑かけて、やっていいことと悪いことの区別つけたんだ。正義って訳じゃないよ」
隼人が言ったが、大陸も直人も同じ気持ちなのだろう。
それから小学生たちと目一杯花火をして、二十時には撤収した。子供たちを家まで送ってから、私たちはコンビニに向かう。
「あーあ。学校はテストがなけりゃ快適なんだけどなぁ」
大陸がボヤくが、その説は大いに賛成だ。
「そんなこと言ってるとさっきの子供たちに笑われるぞ?」
直人が笑いながらそう返す。
「大陸に家庭教師は無理だな」
隼人も笑うが大陸は気にしない。
私は三人を見て、やっぱり男の子だなぁと改めて思う。
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