男の子のくだらないところ二十九

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 こうやって直人の心配から泳ぐことで逃げている。ある程度泳いでる、底に足をつけると、目の前に大陸がいて、ニカリと笑う。 「結、なかなか速いじゃん」 「大陸には負けるよ」 「当たり前だよ。俺はトレーニングに関しちゃ頭おかしいからな。まだまだ泳ぐ!」  動くのが大好きな大陸が部活を辞めたのは、未だに信じられない。それも両親の面倒を見るためにちゃんと就職したいという理由だ。私には、両親の面倒を見るというビジョンもない。  大陸は再び泳ぎだす。隼人は相変わらず寝ている。隼人のビジョンはまだ聞いたことないが、隼人は何を考えているのだろう。少し休憩してから、私は再び泳ぐ。  大陸の気持ちが少し分かる気がする。身体を動かしていると余計なことを考えなくていい。  だが、やはり大陸みたいな体力おばけと私は別物でクタクタになってプールサイドに横でハアハアと呼吸を荒くすることになった。 「やりすぎだよ」  直人に怒られた。隼人も横にいる。大陸はまだ泳いでいる。 「もう二時間経つぞ?」  隼人が呆れている。大陸の体力自慢には呆れる。 「ねぇねぇ隼人。隼人って将来のビジョンあるの?」 「あるよ。俺は情報処理に進みたい。そういう勉強もこっそりはじめてる」 「こっそりかぁ。みんな決めていくんだな」 「結は?」 「全然さっぱり」 「それはそれでいいだろ? 決まんないってことは可能性が多いってことだよ」 「全くあんたたちはイケメンだよな」  三人を見る女子たちが、良くない? って噂するのも分かる気がする。私もあんたらに負けないようにそろそろ何か目標を見つけなければならない。  大陸はまだ泳いでいる。 「流石に長いなぁ」  直人がごねる。 「まぁいいだろ? 部活で発散できなきゃ、それ以外でだ。他の奴らとだったら大陸もはしゃげないだろ?」  隼人の言うことは最も。私たちとだから、大陸は好きなことをできる。 「私もまた泳いでくる!」  私はまたプールに入り泳ぐ。今度は水の感覚を楽しむようにゆっくりと。  私が何か目標を見つけたとき、あんたらはきっと打算なしに応援してくれるだろう。ならばちょっと本気出してやりたいことを探してみようか。あんたらも当たり前に付き合ってくれるだろうから。  そう思っても私は、あんたらがちょっとズルいと思っている。やりたいことを見つけて真っ直ぐに進むあんたらは魅力的だ。
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