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男の子のくだらないところ三十
「今度のテストは前より点数上がる気がする!」
テスト間近の昼休み。私たちは食堂でテスト勉強をする。大陸は部活をやめてから勉強を頑張っているのでそんな風に言いたくなるのも分かる。だが大陸は四人の中では一番成績が悪い。バスケで活躍してきたものだから、それはそれでいいかなんて思っていたけど、まさかのバスケ部退部の学業専念します、だ。
私らは大陸の意思を尊重しているので深くは突っ込まないがそれをよく思わない人もいるのだ。
「あの……」
私たちがテスト勉強をしているテーブルに一人の女子が立つ。確か一年生の子だ。
「何か?」
直人が言うがその女子の視線は大陸に向かう。大陸は一生懸命にノートを写している。
「あの!」
どうやらこの子の目当ては大陸らしい。
「大陸。呼んでるよ」
「ん〜」
私が呼んでも気のなさそうな大陸。女子は私をキッと睨んだ。
「これ、読んでください……」
女子は大陸に手紙を押し付けて去っていった。
「大陸、話くらい聞いてあげなよ」
「面倒くさい」
「いや。そのせいで私睨まれたんだけど?」
「ラブレターか」
大陸に向ける私の訴えは軽くスルーされて、隼人がラブレターであることを察する。
「ちゃんと答えなよ」
「それは流石にするよ。今読むから、お前ら見るなよ」
私の訴えは軽くいなされ、大陸は手紙を読む。
「放課後、体育館裏か……。みんな待っててくれる?」
「待つよ」
真っ先に直人が言った。私はこういうとき、いつも疑問なのだ。大陸も直人も隼人も結構告白というものを受けているのに一向に彼女を作らない。そのせいで私が女子から敵視されるのだ。三人とも、それほど理想が高いのだろうか。こいつらのお眼鏡に敵う完璧女子ってどんな子なのだろう。
「それより勉強! お前らが教えてくれなきゃ俺は強くなれない!」
ちょっとだけ先生を頼れよと思ってしまった。こいつらと仲良しなだけに怖い視線が来るからな。くわばらくわばらだ。
放課後。クラスメイトはちらほらと帰宅したり部活に向かったり。結局最後まで残っていたのは私たちだが、大陸がなかなか立ち上がらないから私たちも動けないのだ。待っててと言ったのは大陸本人だ。
「はぁ面倒くさい……」
「面倒でもちゃんと返事しないと」
「分かってるよ」
直人に促されて大陸は、よいしょと椅子から立ち上がる。
「一応、ついてきてよ」
「うげぇ」
そういうの、あんまり見たくないんだけどな。大陸を見てもそうだけど、直人も隼人も最初から大陸は断ると見ているみたいだ。何故なのだろう?
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