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男の子のくだらないところ三十一
「終わったねぇ」
テスト期間の最後のテストを終えて直人はそう呟いた。大陸は机に突っ伏している。
「終わったけど……、自信ない……」
まあ大陸はそうだろう。大陸に教えてて思ったが、よく高校を合格できたなってレベルだった。私たちの通う学校は進学校ではないが、進学する生徒もそれなりにいる。別段、そこまでレベルが低い訳でもない。
「まぁまぁ大陸。多分そんなに悪くないからさ」
隼人はそう大陸に声をかける。私も大陸が全く出来なかったとも思ってない。間違いなく学力は上がっている。
「東大行く訳じゃないんだろ?」
「そーだけどさー。悪かったらみんなに悪いじゃん……。一生懸命教えてくれたのに……」
そんな風にぶうたれる大陸。そう思ってくれるだけでありがたい。
「じゃ、テスト頑張ったご褒美にファミレスにパフェ食べに行こうよ」
私の提案に直人も隼人も頷く。これは恒例行事だったりする。
「パフェ?」
「大陸は、女の子と遊ぶのに忙しくて知らなかったろ? テスト後は俺らパフェ食べてたんだよ」
女の子大好きの大陸も二年になってから、ほとんどの時間を私たちと過ごしている。心境の変化があったかどうか知らないが、特に問いただすことでもない。
「お前ら、俺ほっといてパフェ食ってたの!? ショックだわぁ」
「大陸がテスト軽視して、テスト期間も女の子と遊んでたからだろ?」
「……ごめんなさい」
私に突っ込まれて大陸は借りてきた猫のように大人しくなる。どうやらこれは本当にテストの結果に自信がないようだ。
大陸を励ましながら私たちは、ファミレスに移動をする。注文するのはパフェとドリンクバー。それを頂きながら、テストの復習をするのだ。
「やっぱり暗記系は苦手だな。文章問題なら得意なんだけどな」
「結はもうちょい数学鍛えたほうがいいかもな。ケアレスミスが多い」
覚えている範囲での勉強会。直人も隼人もどこが悪かったか、熱心に話し合う。その中、大陸は白目を剥いていた。
「なんでテスト直後に勉強会してるんだよぉ。パフェで終わりでいいじゃんーー」
まぁ大陸の言い分は分かるが、部活してない私たちは簡単に成績落とす訳にいかないんだよ。勉強をちゃんとすることで自由な時間を得ているんだから。
「まあそう言うな。大陸だって就職するまで勉強しなきゃなんないんだぞ? それともバスケ選手目指すか?」
「やるよ! やるから!」
私に言われて、大陸も記憶を頼りに何が悪かったか直人と隼人に訊ねる。
大陸は変わったよな。努力とか似合わない感じがする雰囲気だったのに。今はちゃんと努力している。
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