男の子のくだらないところ三十一

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 もちろんバスケの練習は毎日しっかりしていたし、努力してない訳じゃない。ただ女の子に囲まれてチヤホヤされている大陸からは、努力してますオーラは出ていなかったのだ。まあいい方向に変わったのだろう。 「あれ? もしかして大陸、俺より点数良かったかも知んない」  直人が大陸のテストの分かっている答えだけ聞いてそう呟いた。 「未回答もあるけど、答えてるとこは大体合ってるな……」 「マジ!? 俺、お前らが教えてくれたこと、そのまんま書いただけなんだけど?」 「それは結構スゴいことなんだけどな」  私も関心する。覚えたことをそのまま書けるからこそ大陸は高校受験もこなせたのだろう。 「でも文章問題はめちゃくちゃだな」  隼人は大陸の欠点を指摘する。 「だってさ、文章問題とか決まった答えないじゃん!?」 「でもまぁ大陸がやる気出せば、なかなかスゴいのはよく分かったよ。バスケに関しても基礎練習怠らなかったもんな」  得意気の大陸。 「みんなには内緒だぞ?」  やっぱり大陸は調子がいい。 「結はちょっと点数落ちたかもな。反復大事だぞ?」 「やっぱりかぁ。最近、調子悪くてさ」  隼人に言われて言い訳してみるが、原因なんて分かってる。みんな将来の進路を見つけていくのに、私にはまだ見つからない。焦りが調子を狂わせている。 「それはそうと、パフェ食わない? 溶けちゃうからさ」 「大陸、そうだよなぁ」  私はうんうんと頷く。 「やっぱりご褒美は食べないと」  直人も隼人も苦笑いするが、一番の目当てを後回しになんてできるもんか。 「美味しい!」  私は一口放り込んで震える。 「パフェってやつはどうしてこんなに美味しいの?」 「結は甘いの好きだもんな」  そう言ってパフェを崩す直人。隼人は黙々食べてる。大陸はヘラヘラ笑いながら食べている。誰だって美味しいものの前では素直だ。 「俺、パフェ食えるならちょこちょこファミレスで勉強会しても構わない!」  大陸、そんなにパフェ食べられる余裕が私たちにある訳ないだろ? 「まぁ夏休みで一二回ならできるかもな。パフェのために小遣いなくしちゃうのもな」  隼人、その通り。 「まぁ大陸がやる気出したなら、それもいいかもな。第一パフェはうまい。あと、結は二学期盛返さないとな」  直人、言葉もありません。  なんとなくこいつらが、上手く人生まわしてるように見えるのが何でか分かった気もする。
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