男の子のくだらないところ三十ニ

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男の子のくだらないところ三十ニ

 テスト返却無事終了。奴らは私の机を囲んで、お互いのテスト用紙を見せあっている。 「直人には勝ったかな? って思ってたけど、やっぱりそうだよなぁ」  大陸はちょっと残念そう。まあそんな簡単に大陸が直人には勝てないか。 「総合点はやっぱり隼人が一番かぁ」  直人もまた隼人に負けて悔しそう。 「でもあれだぞ? 俺、国語は直人に一回も勝てたことないんだぞ?」  隼人までそんなことを言う。てか、あんたら、そんなに買った負けたが重要か?  ちなみに私は直人には負けているが大陸には勝っている。 「まぁ極端に点数悪くなることはなかったんだから、それで良くない?」  私は場を収めようとそんなことを言ってみる。 「いやいや。学年首位とかは無理だけど、このメンバーの中なら勝ちたいじゃんよ?」  直人がそう言って大陸も隼人も頷く。隼人はいいが、大陸は前々からそうでしたみたいな顔すんなよ。 「そのほうが張り合いあるしなぁ」  隼人が感慨深けに言うが、絶対に今思いついて口にしてるだろ? 「てことで今日もパフェ行く?」 「却下」  大陸、そんなにパフェ食べられる余裕がないとこの間言ったばかりだろ? 忘れるなよ。 「結のいけずーー」 「なら大陸のおごりで行く?」 「やっぱいいです」  手の平返し速いな大陸。 「でもまぁパフェは無理だけど、喫茶店でアイスコーヒー飲むくらいならいいんじゃない? 大陸もやる気出してるから改めて復習しない?」  隼人は優しいなぁ。何だかんだで一番物分りがいいのは隼人だったりする。直人は頑固だし、大陸はお調子者だし、言葉にちょっと重みがない。 「いいんじゃない? 私も今回はちょっと堪えてるし……」  大した差ではないが、私は今回やはりいつもより点数が下がった。気にしてない風に見えるかも知れないが、気にはしてるのだ。お父さんもお母さんもテストの点数で怒ることなんてない。勉強しなさいって叱ることもない。だから気にする。下手な心配なんかかけたくはないから、ある程度の成績を維持してたんだ。  それにこいつらと肩並べているには、こいつらにも心配させないことが一番なんだ。そりゃ完全に心配されなかったら逆に不安になるけど、それはないと分かっているから気にしてしまう。勉強嫌いだった大陸だって、それを分かっているから授業はそれなりに真面目に受けているのだ。この前の告白みたいに仲間のせいで云々言われたくないのは、みんな同じだ。 「そうだな。結は気にするよな。親に心配かけたくないもんな」
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